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さくらももこ著『あのころ』でボクが好きなエッセイは夏休みの宿題
さくらももこのエッセイが好きで、ひととおりの作品は読んだ。現在も手元に5冊ほど残っている。中でもボクが好きなのは『あのころ』集英社(1996年7月20日 初版)に収録されている「夏休みの宿題」というエッセイだ。
さくらももこのエッセイに共通して言えるのは書き出しの旨さ。冒頭部分で読者を惹きつける文章力がある。「夏休みの宿題」というエッセイの書き出しを紹介しよう。
『夏休みに宿題があるというのは、子供に夏休みを休むなと言っているようなものだ。つまり休むのはあくまでも学校であり、子供が休むのではない。せっかく夏の太陽の下で元気に遊んでいても、宿題のことがチラリと胸をかすめると非常に不愉快(ふゆかい)になる。特に日記などのように毎日しなければならないものがあると、気分はますます低空飛行気味になる。』(『あのころ』夏休みの宿題より引用)
2018年8月27日。さくらももこさん死去のニュースが報じられた。亡くなったのは2018年8月15日。折しも夏休み中であった。「これで夏休みの宿題から解放された」と天国で言っているかもしれない。さくらももこさん、安らかに――